発注点は「在庫が何個になったら発注を検討するか」の目安です。材料の使用量と、発注してから届くまでの日数を先に確認すれば、担当者の勘だけに頼らず決められます。ただし、発注点を下回ったことと、すぐに何個買うかは別の判断です。発注済みの数量と今後の製造予定も合わせて見ます。
発注点の基本式と計算例
発注点 = 1日あたりの平均使用量 × 調達リードタイム(日) + 安全在庫
これは補充を待つ間の使用量に、需要や納入日のずれに備える数量を足す考え方です。Oracle の在庫管理ドキュメントでも、リードタイム中の需要と安全在庫量から発注点を計算しています。
たとえば材料Aを平均12個/営業日使い、発注から入荷まで5営業日、安全在庫を24個と置くと、12個 × 5日 + 24個 = 84個。在庫の判断値が84個以下になったら、次の発注を確認します。営業日と暦日を混ぜず、使用量とリードタイムの単位をそろえてください。
| 入力する数字 | 材料Aの例 | 現場で確かめること |
|---|---|---|
| 1日あたりの使用量 | 12個/営業日 | 出庫実績と直近の生産計画 |
| 調達リードタイム | 5営業日 | 発注日から使用可能になる日までの実績 |
| 安全在庫 | 24個 | 急な増産・納入遅れに備える仮の数量 |
| 発注点 | 84個 | 入力を変えたら再計算する |
安全在庫24個は説明用の仮定で、すべての品目に適した値ではありません。欠品が起きた日、納入が遅れた日、在庫が余った月を記録し、品目ごとに見直します。季節変動や不定期の大量使用がある品目では、平均だけで判断せず、確定した生産予定を優先してください。
棚の数だけで発注しない
棚に50個しかなくても、40個が発注済みで、20個を製造予定に引き当てているなら、判断に使う持ち高は 50+40−20=70個 です。発注点84個を下回るため発注を検討します。入荷予定40個を無視すると二重発注になり、製造に使う20個を無視すると欠品を見落とします。すでに引き当てた20個を、別の需要としてもう一度差し引かないようにしてください。
この持ち高の考え方と発注量を決める順番は、発注判断を担当者任せにしないための手順で詳しく整理しています。発注点は発注の合図であり、発注量そのものではありません。最小ロット、保管場所、次の製造予定、人による承認を確認してから数量を確定します。
欠品を減らすための毎週の確認
- 記録をそろえる:品目コードと単位を統一し、入出庫、発注残、入荷予定日を更新します。現物と帳簿が違えば先に差を調べます。
- 入荷までの日付を見る:発注点以上でも、明日の製造に必要な材料が入荷前なら足りません。日ごとの所要量と入荷予定を並べます。
- 例外を残す:欠品、特急発注、納期遅延、余剰在庫の原因を記録し、使用量・リードタイム・安全在庫を月に一度見直します。
最初は生産を止めやすい材料など、少数の品目から始めると、入力と棚の照合を続けやすくなります。発注点を計算しても、在庫数や入荷予定が更新されなければ判断はずれます。
今後の使用量そのものが読みにくい品目は、中小製造業で需要予測AIを検討する手順で、確定受注と未確定の見込みを分けてください。
Excelで始めるときの範囲
無料の在庫管理Excelテンプレートには、品目ごとに決めた発注点を入力し、現在庫がその値以下になったときの「要確認」表示があります。発注点の自動計算や発注残の自動反映はしません。 上の式で値を決め、発注済み数量・入荷予定・製造計画は別に確認してから発注してください。
複数人で更新する、品目や拠点が増える、発注残との照合に時間がかかる場合は、判断に必要なデータの流れを整理する段階です。becon の無料の現場診断では、いまの在庫表と発注の手順を一緒に確認します。
